前回、新車の値引き術に関しての記事を挙げましたが、今回はその中でも軽自動車に関してです。
軽自動車というと排気量が660cc以下で黄色いナンバープレートが付いている車ですよね。排気量の低い車両ですので、自然と車体の大きさも小さくなります。また、その排気量の低さから自動車税も安く設定されており、経済的な車ですね。
自動車税だけではなく、基本的には保険料も安く設定されていますし、車検代も普通車に比べるとかなり安く済みます。また、車体が小さいため(軽いため)燃費も良く、全ての面において経済的な車の代表ではないでしょうか。
しかし、そんな経済的な軽自動車ですが新車購入となると車両代金がかなり高く設定されています。普通車に比べれば比較的安い部類には入りますが、現在では100万円を超える車は当たり前。中には200万円ほどする車両もありますよね。
それだけ経済的な車が高く販売されているので、結構値引きが効きそうなイメージがありますよね。でも、実は軽自動車ってなかなか値引きをしてもらえないことが多いんです。なぜでしょうか?
目次
需要が高い
最初に話したように、軽自動車はとても経済的な車です。そのため、それだけ人気があります。
特に田舎では成人すれば自動車は1人1台が当たり前になっています。自動車が無ければ学校に行けませんし、会社にいけません。買い物にもいけませんので生活が出来ないわけですね。1人1台車を所有することを考えれば、やはり経済的な車が必要になります。
値引きしなくても売れる!?
それだけ需要が高いので、軽自動車は基本的に値引きをしなくても売れます。
自分にとって絶対的に必要なもの、絶対に欲しいものがあった場合、少々値段が高くても購入しますよね。その値段でしか販売されていないのならばその価格で購入するしかありません。
軽自動車もそれと同じ原理で、多くの人に必要とされているので少々値段が高くても売れるんです。高い値段でも買う人がいるので、販売店からしてみればわざわざ値引きをしてまで売る必要がなくなってくるわけですね。
しかし、やはり業界はライバルが多いので「同じ装備で少し安い車」や「装備が充実しているのに同じ価格の車」が登場してきます。
すると販売店(ディーラー)はなんとしても自分の会社の車を販売しなければいけません。市場が流れていってしまいますからね。その営業マン単体で考えても、自分の評価アップのために自動車をお客さんに売るしかありません。
値引きをせずとも売れる軽自動車はありますが、値引きが必要と感じている軽自動車もあります。その車それぞれですね。しかし、基本的には軽自動車は需要のあるモデルですので値下げ交渉になかなか乗ってくれませんね。
ディーラーの利益幅が小さい
値引きが難しい理由の一つが「ディーラーの利益幅が小さいこと」です。利益幅が小さいと言うことは、それだけ値引きできる幅が狭いことになります。新車の値引きに関しての記事でご説明しましたが、新車には最大値引き額(値引きの限界額)が設定されています。
その価格は車両によって違いますが、計算にてある程度算出することが可能です。
利益額(限界値引き額)を計算
まず、軽自動車1台あたりを生産するのにどれだけのコストがかかっているのかを理解する必要がありますよね。
実は、軽自動車の場合は販売額の約70%ほどを製造コストや流通に対するコストが占めています。100万円で販売されている軽自動車でも、店頭に並ぶまでに70万円の費用が掛かっているわけですね。
そこから簡単に計算すると、その軽自動車を1台販売したときのお店の利益は30万円になりますね。その30万円が製造メーカーと販売店の利益になります。
値引きをするのは・・・?
利益が30万円と記載しましたが、これは「製造メーカー」と「販売店」両方の利益です。単純に折半したと考えると、お互いの利益額は15万円ずつとなりますよね。
つまり、100万円の車を販売した自動車販売店(ディーラー)の利益額は15万円になります。
あなたが車を購入するのは、製造メーカーからではなく販売店(ディーラー)から購入しますよね。と言うことは、あなたが値引きをお願いしたその金額を負担するのは販売店(ディーラー)になります。
もし、10万円の値引きをお願いしたとします。すると、販売店の利益は15万円から10万円を差し引いた5万円になってしまいますよね。しかもこの額は人件費や維持費は加算されていません。
値引きをする場所がどこなのかを考えると、新車価格の値引きがどれだけキツイか分かりますよね。軽自動車は利益幅が小さいので、なかなか値引きしてもらえないんですね。
車体価格が安い
軽自動車の値引きが難しいもう一つの理由として挙げられるのが、その車体価格の安さです。
お分かりかと思いますが、普通車に比べると軽自動車って元から安い金額で販売されていますよね。その価格差は「軽自動車だから当たり前」みたいな感覚になっていますが、どれも同じ「自動車」ですので安い商品のほうが値引きは厳しくなりますよね。
先ほどの製造コストを考慮してみれば分かりやすいですね。
普通車と軽自動車の利益幅の違い
仮に自動車の生産コストがどの車も70%だったとしましょう。人件費などは考慮せず、粗利を考えれば30%が利益になりますね。
では500万円の普通車の場合、利益額はいくらになるのでしょうか?
500万×0.3(30%)=150万
150万円が利益ですね。そして製造メーカーと販売店が利益を折半したと仮定すると販売店の利益額は75万円になります。
100万円の軽自動車の場合はどうでしょうか?
100万×0.3(30%)=30万
30万円が利益額となりますが、製造メーカーと折半すると販売店の利益額は15万円です。
普通車と軽自動車、どちらも1台を販売した例ですが販売店の利益額に換算すると60万円もの差が生じますね。このときのお互いの違いは車両の販売価格だけです。他の条件は同じですよね。
と言うことは、車体価格の安い軽自動車は値引きがしにくいことが分かりますね。
値引きは出来ないの?
これだけ販売店の利益額が少ないというデータがあると「値引きは出来ないの?」と思われるかもしれません。しかし、値引きが出来ないわけではありません!
しっかりと価格のカラクリを考えれば適正な値引き額を算出することが出来ます。
オプション品を考慮
新車を購入した経験のある人ならご存知かもしれませんが、車を購入する際の価格というのは車体本体の価格だけではありませんよね?オプション品というものが付属されています。
実はそのオプションには「メーカーオプション」と「ディーラーオプション」の2種類があります。それぞれ名前の通り「メーカーが付属したオプション品」と「ディーラーが付属したオプション品」です。
メーカーオプションに関しては置いておいて、ここで重要なのはディーラーオプションです。ディーラーオプションというのはやはりディーラーの利益率が高いように設定されています。ということは、購入した車両にディーラーオプションが付属されていればディーラーはそれだけ儲けが出ますね。
実はしっかりと値引きをしてもオプション品でディーラーは利益を上げることが可能なんです。
値引きは10%が目安!
このディーラーオプションを考慮して値引き額を算出すれば、だいたい値引きは車両価格の10%が妥当だと考えられます。
100万円の車両を購入するならば10万円、150万円の車体を購入するならば15万円となります。
自動車の製造コストが70%で利益幅が30%と話しましたよね?しかも利益をメーカーと折半するので販売店の利益額は15%です。その中から10%も値引きしてしまって大丈夫なのでしょうか?
そこで重要なのがオプション品です。
150万円の車両を10%値引きしたとします。値引き額は15万円ですね。本来の販売店の利益額は22万5千円でしたが、利益額の15万円を差し引き7万5千円になります。約8万円です。
150万円の車を販売したのに利益額が8万円では全く割に合わないように感じますが、その購入額にディーラーオプションが付いた場合は利益額がグッと上がりますね。
10万円分のディーラーオプションが付属されれば利益額は8万円から18万円に上がります。
そのオプションがあるから、10%の値引きを行なっても利益を確保できるわけですね。ですから、軽自動車の値引き交渉を行なう際には販売価格の10%を目安に交渉してみましょう。
値引きは販売価格の10%が目安!